【2023プレナスなでしこリーグ2部 第18節~試合結果~】VS 福岡J・アンクラス戦
いつもFCふじざくら山梨へご声援頂きまして誠にありがとうございます。
10月15日に行われた2023プレナスなでしこリーグ2部第18節の福岡J・アンクラスの試合結果をお伝えいたします。
≪2023プレナスなでしこリーグ2部第18節~結果~≫
(45分ハーフ)
FCふじざくら山梨 0-0 福岡J・アンクラス
-前半 0-0
-後半 0-0
≪スターティングメンバー≫
GK 出口春奈
DF 濱名花子 松岡沙由里 高山紗希 小鍛治旭
MF 菅百花 田中里穂 中村友香 鈴木和遥 辻野友実子
FW 広沢実佳子
(途中出場)
HT OUT19広沢実佳子 → IN 7井原美波
63分 OUT10 菅百花 → IN14脇田紗弥
73分 OUT25 田中里穂 → IN9金井奈苗
【今節の振り返り~マッチレポート】
(Report by 伊藤千梅/Photo by 北原基行)
10月のリーグ再開から、ラストスパートをかけているFCふじざくら山梨。3試合で勝ち点7を獲得しています。今季最終節となる今日は、このメンバーでできる最後の試合。サポーターの皆さんの前で、1年間で積み重ねてきたものを出し切れるように全力を尽くします。
本日は、1年間の感謝を込めた「Thanks Day」。
会場前で行われていた「ふじざくらマルシェ」で、今シーズンブースを出してくださった地域の皆様が、最終節も数多く出店してくださいました。
また、今回は沖縄キャンプでお世話になった「エナジック琉球DEIGOS」さんのブースも登場。最終節のために、沖縄県からわざわざ駆けつけてくださいました。
キャプテンの田中は「いつも多くの方々が出店してくださって、いい雰囲気を作ってくださったからこそ、スタジアムに入るときにお客さんの笑顔もみられたと思います。会場の外側から、ホーム戦を盛り上げてくださってありがとうございました」と感謝の言葉を述べました。
グラウンドでは「FCふじざくらJEアカデミースペシャルマッチ」が行われました。
暑い日も雨の日も、勝った日も負けた日も、担架隊やボールパーソンとして、トップチームを支えてくれたアカデミーの選手たち。そんな彼女たちの試合を、今回はトップチームの選手たちが観戦。ハイタッチで試合に送り出すと、チャンスを迎える度に声をあげて応援しました。
試合は0-2で惜しくも敗れましたが、トップチームの選手たちと同じように「最後まで走り切る姿」を見せてくれました。
本日の相手は、リーグが再開してから3連勝中の福岡J・アンクラス。
渡辺監督はたくさんの人の思いがこの試合にのっていることを選手たちに伝えたうえで「勝利を掴み取るには、自分たちでそれを切り拓くしかない」と話しました。
試合前には、ピンキーダンスファクトリーの皆さんの元気なダンスに力をもらうと、立ち上がりはFCふじざくら山梨のペースに。
広沢とのワンツーから濱名が右サイドを突破。直後、ボールを受けた鈴木がまた抜きで相手を抜き去ると、ファーストシュートを放ちます。続いて左サイドから辻野が運び込み、クロス。その数分後には、中村のロングシュートを打ちこみました。
しかし連続して相手のゴールを脅かすものの、いずれも得点を奪うことができません。
攻守の入れ替えが激しくなると、25分に大きなピンチが訪れます。
ペナルティエリア外から、相手が強烈なロングシュート。GK出口がはじくと、ボールはフリーの相手FWの前にこぼれます。相手のシュートがポストにはじかれると、ギリギリのところでクリアし、間一髪で失点を免れました。
その後はDFラインを高めに保ち、選手の距離感を維持する選手たち。アンカーのコースを消しながら守備をすることで、相手のパスコースをつぶし、相手に出しどころを与えません。
前半終了間際、鈴木がシュートを打ったところで前半終了。ゴール前までの良い形は作るものの、得点に結びつけることができずに試合を折り返しました。
後半はさらに攻撃を活性化させ、得点を奪いたいFCふじざくら山梨。
ハーフタイムでトップ下に投入された井原のクロスを、相手がはじいたところで鈴木がセカンドボールを拾い、振り向きざまにシュート。枠をとらえることができません。
続けざまにカウンターのチャンス。井原がタメをつくる間に、濱名と辻野がラインを追い越します。濱名がニアに走り相手を引き付けたところで、ファーへ走り込んだ辻野へクロス。辻野が合わせましたが、わずかにゴール左にそれました。
63分には脇田、73分には今日で引退を発表している金井が出場。観客席からは「がんばれー!」と声がかけられました。
ブロックを引いて守る相手に、ゴールをこじ開けることができないFCふじざくら山梨。それでも攻撃の糸口を探り続ける中、クロスのこぼれ球が金井の前に。渾身のシュートを打ち込みますが、ボールはゴールの上を大きく通過。豪快なシュートに、観客席のサポーターも思わず笑いながら天を仰ぎました。
残り5分。相手陣地でプレーする時間帯が続きます。ここで脇田が相手GKと一対一の状況を作りますが、シュートはキーパー正面。
「いけるぞー!」と観客席からも鼓舞する声があがります。
しかし、最後までゴールを割ることができず、今シーズンの試合終了のホイッスルが吹かれました。観客席からは得点を奪えず残念そうな声もあがりましたが、最後まで多くのチャンスを作り続けた選手たちに盛大な拍手が送られました。
試合後には、8月までチームの中心選手として活躍してくれた加村ななみ選手が、サポーターの皆さまに向けて挨拶。「成長した姿を見せられるようにがんばります」と、サポーターの皆さんの前で、新潟での活躍を宣言しました。
その後、金井奈苗引退セレモニーが行われました。1期生として入団し、県リーグの頃からなでしこリーグに昇格するまで、チームを支えてくれた金井選手。ベテラン選手でありながら、年齢を感じさせない豊富な運動量とフランクさで、ピッチ内外でチームに貢献してくれました。
マイクの前に立つと「最後までプレーする姿を見せられて本当に良かったです」と話し、少し涙ぐむ様子も。これまでの大変だったことを振り返りながら、スタッフやチームメイト、パートナー企業様へ感謝の気持ちを伝えました。
代表として1期生の田中選手と高山選手から、メッセージ入りユニフォームをプレゼント。3人で涙を流しながら、抱き合いました。
花束は、元チームメイトの石田みなみさんが制作。金井選手のキャリアの成功を願い「どこでも、成功を」という花言葉と共に、ご家族の皆様から手渡されました。最後は「ななコール」で会場が一体に。金井は笑顔で観客席に手を振りました。
その後は、渡辺監督と、キャプテン田中の挨拶が行われました。
渡辺監督は、今シーズンの悔しかった思いを吐露し、それでも支えてくださったサポーターさんへ感謝の気持ちを伝えました。その上で最後のお願いとして「金子さん、富士観光開発のみなさま、運営、ボランティアスタッフ、フロントスタッフといった人たちに拍手を送ってもらえるとうれしいです」と話すと、今季チームを支えてくれた人たちへ、サポーターから大きな拍手が送られました。
田中は「ほんとに下を見たくなるような、足を止めたくなるようなときがたくさんありました」と今シーズンの苦しさを語りました。
それでも、サポーターの皆さんのおかげで足を動かすことができたと話し「皆様の存在が、私たちのパワーになったように、皆様にとって私たちもそういった存在であり続けられるように、愛されるチームであり続けられるように、FCふじざくら山梨として、チーム全員で活動していきたい」と来シーズンに向けた心意気も伝えました。
最後は記念撮影の後に、全選手のサイン会が行われ、よく晴れた中で今シーズンが幕を閉じました。
FCふじざくら山梨は、今季初めて念願のなでしこリーグ2部で戦うことができました。
「感動が駆け抜けるフットボール」を掲げて走り続けた1年間でしたが、皆さんの心に、何か残るものはあったでしょうか。
今シーズンは、格上のチームを相手に勝利する姿をお見せできないときも多く、もどかしい思いをさせてしまったこともあったと思います。それでも、どんなときも変わらず応援してくださるサポーターの皆さんのおかげで、最後まで戦い抜くことができました。FCふじざくら山梨サポーターの応援は、どこのチームにも負けていなかったと思います。
今季はたくさんの「初めて」を、皆さんと過ごすことができて幸せでした。来季は、なでしこリーグ2部のチームとして、2度目の挑戦になります。関わってくださる人達の心を動かしていくという思いは変わらず、それでもさらなる進化を遂げて、来シーズンもまた闘っていきたいと思います。
皆さま、今シーズンも共に戦ってくださり、本当にありがとうございました。
来シーズンもどうぞ、よろしくお願いいたします。
以下、渡辺海監督、田中里穂、金井奈苗のコメントになります。
渡辺海監督
Q)試合を振り返って
相手の展開を想定した中で1週間準備してきたことは、しっかりとピッチの中で表現することができました。ただやはりゴール前に行くまでの過程を充実させていたものの、フィニッシュの精度に欠くシーンで自分たちを苦しめてしまったことが多かったです。ゲームの中で、直近の試合で感じていた相手の圧力を回避する術を授けていた中で、そういった部分でボールを前まで繋げたり動かしたりすることは、ある程度できました。ただ、得点まで行くところは、今シーズンずっと抱えていた課題を感じる場面が多かったです。
後半に向けて、試合のパワーやピークを持っていく場面をチームの中で作ることができたのはすごく良かったです。その要因としては、選手層の厚さが大きいと感じています。後半出た選手たちが非常にアグレッシブにゴールに向かってくれ、前半から積極的な守備をしてくれた選手のおかげで、前半疲弊した選手たちを後半もっと疲弊させることができました。
Q)今シーズンを振り返って
このクラブにとってはほんとに夢の舞台だったので、まず昨シーズンそこに対して昇格したところから、たくさんの人の思いや希望を乗せてこのカテゴリーに臨みました。けれど、やっぱり現実は甘くない部分がたくさんあって、自分にとってはほんとに苦しいシーズンでした。
そこを自分たちが乗り越えるために変化を作れなかったことが、この今シーズンの結果を表していると思っています。もう少しその変化を起こせるような組織になっていくことが、この状況を打開するために必要だとは思いますので、そういった部分を教えてくれたリーグだったかなと思います。
Q)選手たちに一言
選手として、初めてのリーグ2部であり、自分がなでしこリーガーになるということ。そういった部分でたくさんの希望を持ってこのシーズンに臨んでいたと思います。ただ、そこに向けて自分が与えられたものはほんとに少なくて、選手たちを迷わせてしまう場面が非常に多くあったと自分自身感じているので、選手たちには本当に申し訳ないシーズンを過ごさせてしまったなという風に思っています。
ただ、選手たちはどんな時でもこのチームが目指す方向に向かって全力で取り組んでくれていたと思います。1人1人が、ほんとにたくさんの課題と向き合いながら、自分を前に進めていくことをしてくれたと思っていますので、選手たちの努力や、今までやってきたことは本当に間違いではないという風に自分は感じています。そういった努力や、きつい状況が訪れても逃げることなく最後まで戦い抜いた、今シーズンの20人の選手たちを本当に誇りに思います。
Q)サポーターさんに一言
……幸せでした。どんな時でも自分たちの背中を押してくれて、たくさんの歓声とかため息とか、1つ1つの感情が揺さぶられるようなことを、与える側の我々が与えられていました。皆さんのおかげでこの場所でこういう感動を作ることができたことをすごく実感しています。
皆さんとともに今シーズンを戦えたことが、自分自身の人生の財産だという風に思っています。自分が自分を責めたり、他人を責めたりするような苦しいとときに「監督、大丈夫だよ」って声をかけてくれる皆さんのおかげで、ここまで乗り越えてこれたと思っています。その部分を作っていただいたのは、本当に自分にとってサッカー選手を、指導する立場として幸せでした。
田中里穂
Q)今日の試合を振り返って
最終戦はたくさんの思いがあったので、必ず勝ちたいという思いで臨みました。けれど、多くチャンスを迎える中で、決めきるところを決めきれずに勝ちに結びつけることができなかったのは、まだまだ今シーズン通しての課題が残ってしまったなと思っています。
Q)キャプテンとして、今シーズンを振り返って
1番大変だったのは、やっぱり勝つことができない時期が続いた時。どうやってチームを盛り上げようかという部分では、キャプテンとしては悩んだなというのは1番の思いです。自分がもっとプレーとかで引っ張ればいいなとは思ってたけど、そこもできなかったので。チームが苦しい時に、もっとキャプテンとしてできた部分はあるんじゃないかなというのはすごくあります。
今シーズン良かったことは、これと言った1つのものじゃなくて、全員で取った得点のところです。勝てない時は点に繋がらなかった時もあるけど、点を取ったときにその1点を全員で喜んだのは、ほんとに今シーズンはすごい印象的だったなっていう風に思います。
Q)サポーターさんに一言
今シーズンも、ほんとに最後まで熱い応援をありがとうございました。ホームもそうなんですけど、アウェイでもSNSを通して応援してくださる方々がたくさんいて。苦しい時も前向きな声をかけてくださったのは、すごく自分たちの力になりました。ほんとに感謝をしています。また来シーズンも、なでしこリーグ2部という舞台で戦えるので、ほんとに今シーズン得た経験や悔しさというのは、来シーズンに向けてしっかり自分たちのものにして、勝てるチームになりたいなという風に思います。
金井奈苗
Q)引退を決めた理由
なでしこリーグに上がることがチームとしてできたっていうのも一区切りだし、年齢の部分もありました。あとは自分のサッカーの熱が昔ほど上がってないっていう部分で、このまま続けても良くないなって思ったのが1番理由です。
Q)FCふじざくら山梨で過ごした、これまで日々を振り返って
これまでを振り返っても、菅野さんの練習が大変でした。1番しんどかったです。走りが好きじゃないし、自分の苦手な部分というのですごく大変だったんですけど、身になるものだったから、今となってはいいかなと思います。
やっぱり1番嬉しかったのは、なでしこリーグに昇格できたことですね。毎年毎年入れ替え戦予選にも出られて、そこから全然上がれないことがずっと続いていて。常に人数も少ない中だったけど、入れ替え戦に勝てた時には、もうほんとに「やってきてよかった」と。ここまでやってきて、またなでしこリーグに戻れたことが嬉しかったです。
Q)これからのFCふじざくら山梨に託したい思い
チームメイトには、自分の経験上、試合に出る人出られない人、メンバーに入れる人入れない人ってたくさんあると思います。その人の気持ちを、行動をしっかり見てもらって、ほんとに海くんも言っているけど、責任持ってフィールドに立ってほしいなと思います。チームとしては、今がほんとにいいチームだと思うので。コミュニケーションもたくさん取れることも良さだし。年代もバラバラだけど、そんな上下関係もなくできているので。そのまま突き進んでいってほしいです。今年は順位が7位で終わってしまいました。本当なら一部昇格を目指していた部分が達成できなかったので、来年こそは1位になって、自動昇格できるように頑張ってもらいたいと思います。
Q)最後に、サポーターさんへ一言
1年目からたくさん応援していただきました。1年目、2年目という形でどんどんサポーターさんが増えていって、ボランティアの方だったりもそうですし、皆さんの応援がとても力になりました。今後ともふじざくらのことをよろしくお願いします。