【わたし日誌】2020年シーズンを振り返る ~渡辺海GKコーチ~


FCふじざくらの2シーズン目である2020年シーズンを指導者の視点からも振返りたいと思います。
一番選手と時間を過ごしたコーチ陣は何を感じたのか。
クラブ始動2年目の2020年シーズンより、GKコーチとして就任した渡辺海GKコーチ。
彼がこの1年間で感じたことを言葉にしました。

文章:渡辺海(本人)より

指導者から見えるプレイングワーカーとは

私から見えるプレイングワーカーとは「生き方」であるように感じています。
現代では様々な生活の様式が存在し、そのような様式を自分で判断し、見極める力が必要な世の中になってきたように感じています。そんな世の中で、人生を幸福に過ごすことができる要因として、「達成感」があると私は思っています。私の生き方の根幹には、何かを成し遂げる、成し遂げようとするということは、人生を退屈なものにしない重要なものであるという考え方があります。それは、サッカーを通じて培ってきたものなのですが、勝利のために仲間と共に努力する。自分自身が成長していくことに喜びを感じ、「今度はどんな自分になろうか?」と新しい道筋を描く。こういった達成感の積み重ねをサッカーは私に教えてくれ、今の私の生き方に繋がっています。
同じように、「プレイングワーカー」という生き方も、人生を幸福にするための生き方の一つであるという観点から考えると、非常に達成感に満ち溢れた素晴らしい生き方であると感じています。社会人としてもプレーヤーとしても一流を目指すことは簡単なことではありませんが、この生き方を選んだ選手・スタッフにとって、ふじざくらで過ごす時間は退屈のないかけがえのない時間になっていると確信しています。

私が感じるこの1年での選手、チームの変化や成長

この一年間ピッチでの活動以外に、映像分析の活動にも取り組ませていただいています。
選手の活動を改めて映像で振り返り、菅野監督の考えるサッカー観に触れられることは自分にとっても非常に勉強になる事が多く、充実した活動を行わせていただいています。その活動の中で、徐々に選手の動きや躍動感に意図を感じるようになってきた印象が最近では強く感じられることから、全体の共有心理が働く機会が多くなってきているように感じています。こういった成長のサポートを、今後も様々なアプローチで取り組んでいきたいと思っています。
また、私は普段GKの選手のトレーニングを担当していますが、その活動の中でふじざくらのゴールを守る2人(MINO#1・風間#12)の一年間の成長を一番に実感しています。私のような指導者として未熟者の指導でも、日常の練習では常に下を向かず向上心を持って練習に取り組んでくれています。
倒れて立ち上がれないほどのハードな練習や、どんな精神状況においても、私は2人の口から文句や弱音を一度も聞いたことがありません。(裏でめっちゃ言ってるかも。。笑)
粘り強い精神力や、年間を通じて培ってきた技術は確実に彼女達自身の強さになっているというふうに、2人を観て感じています。逆に、2人からたくさんの学びや気づきをもらい、ひたむきな力強さに助けられています。本当に、この2人の素晴らしいGKと仕事ができることを嬉しく思います。だから、彼女たちが目指す目標を達成するために私は今後とも努力を惜しみません。それが、私のできる唯一の恩返しです。

2020シーズンで最も印象に残っていること

最も印象に残っていることは、試合にファンや地元の皆様、富士観光開発の社員の方々に観戦に訪れていただいたことです。たくさんの方にふじざくらが応援されていること実感しましたし、改めてそういった方々に支えられているということを再認識しました。この場をお借りして感謝申し上げます。
また、会場に足を運んでくれた人の中には、ふじざくらのアカデミーの選手もご家族で訪れていただき、共に戦ってくれました。この時にふじざくらの「未来」を感じることができたことは今でもはっきりと覚えています。今後も応援してくださる方々に勇気や感動を与えられるようなチーム、個人になれるよう、努力していきたいと思います。2021シーズン、試合会場で会いましょう!

私にとってサッカーとは

私にとってサッカーとは、「自己表現の場」であると思っています。
相手より得点を多くとった方の勝ちというルールで行われるのがサッカーですが、その目的を達成するためにどんなことをやってきたのか。どんな思いをもってその試合や練習に挑んでいるのか。そういった日々の積み重ねを行なった人間の生き様を表現する場所が、私の場合はサッカーでした。スポーツには夢や、感動、勇気を見ている人に与えられるというふうに確信しているので、私はこういった自己表現を通じて、今までお世話になった全ての方々に勇気や感動、そして笑顔を与えていくことを人生における使命にしていきたいです。今後もこの自己表現の場を大切にし、努力を積み重ねていきたいと思っています。そして、いつか日本女子サッカーがたくさんの人にとって感動を与えていけるような夢のある自己表現の場となれるよう、指導者の立場から創造していきたいです。