【ちうさんぽ】FCふじざくら山梨のレタスがもたらす繋がりに惹かれた

元なでしこリーガーの伊藤千梅がFCふじざくらファームで栽培した富士山やさい「玉レタス」から生まれた繋がりをテーマに記事を仕上げました。
サッカーチームが生産者になることで生まれる価値をお届けします。
文章:伊藤千梅より

「繋がり」

上野駅から徒歩2分。
ここには何度も来ているのに、降りる場所を間違えて少しだけ長く歩いた。背中にうっすら汗をかきながらお店に着いた。

何か、が目に止まり左手に視線を流す。

地面に咲く花と、木に咲く花。周りの空気がピンク色に染まる。
…今ここは東京でもあり山梨でもあった。ずっしりと構えるレタスの中に、FCふじざくら山梨が存在している。想いが見える。ここにある。
相手の心を丁寧に受け取るラブサラダ店主の愛によって、お店と生産者さんが繋がっていた。

先にいただいたパンを食べながら話をしていると、想像よりも早く店主がサラダを持ってきてくれた。

“作った後に、色んな方と繋がることが出来る時が1番楽しい”
“お客さんの元に行くと思ったら、自然と気持ち込めて収穫した”
必死に育てた人の、収穫した人の気持ちが、サラダによって最大限に引き出され、お店中に溶け込んだのを感じた。
入り口で感じたFCふじざくら山梨の存在が、より強固なものになる。

つやつや輝くサラダを凝視する。
想いと感謝が一つのお皿に込められていた。
レタスをこんなにじっくり見たこともないけれど、今までみたレタスの中で1番綺麗だと思った。レタスを綺麗だと思ったのは初めてで、ちょっとだけ自分にびっくりした。

木のお皿の上に凛と乗せられたレタスが、私が主役だと主張している。添えられたお花が、さぁ輝きなさいとレタスを見守っている。私は今から、芸術作品を口に入れるんだ。そんなことを思ってしまった。

レタスに対して、これまでにない敬意を払いながらフォークを口に運ぶ。
シャリっと歯で感じた瞬間に、甘い。と思う。レタスが甘いという感覚が頭の中で上手く繋がらず、もう一度噛んで、また甘いと感じた。
レタスの水分とオリーブオイルで、テカテカのくちびるが浮き上がる。ぺろりと舐めた先に岩塩があたり、口の中でレタスとこっそり混ぜた。飲みこんでしまうのがもったいなくて、ゆっくりと噛み締めた。

ラブサラダではみんなに圧倒されてしまうかな大丈夫かなと少し過保護になっていた私は、ここでも堂々とする姿になぜか安心してしまった。初めての場所でも自分の良さを発揮している。相変わらずここでは、誰もがお互いを尊重して最高の状態で存在していた。
新しい愛の形を、サラダから学んだ。

“みんなに届けたいですね”
サラダを食べる直前に、小さな声で元ふじざくらの選手くららがつぶやいた。
ふじざくらのみんなに向けた一言でもあり
ふじざくらの一員としての一言でもある。

ふじざくらの想いを、ラブサラダの店主が全身で受け止めていること。
食べにきた多くの人に、ふじざくらの想いが伝わっていて、繋がったこと。きっとふじざくらの願うものがここにあった。
レタスと愛によって作られたラブサラダを選手・スタッフの皆さんにも一度食べて欲しい。

そして、もっと届けたい。多くの人に。

想いが詰まったレタスの美味しさで、飲食店の皆さんと繋がりたい。料理によって沢山の人を幸せにするお手伝いをさせてほしい。
手を取り合って一つのものを作り上げたら、いっぱいの人の気持ちを温かくすることができる。

あなたの想う未来を、私たちもみたい。
どうかもっと多くの人に届きますように。
どうかもっと多くの人と繋がれますように。

…そんなことを切に願いながらお店を後にする。
幸福感で満たされながら、吸い込まれたら山梨まで繋がる空に向かって歩いていった。