【関東女子サッカーリーグ2部最終節~試合結果~】VS 1FC川越水上公園メニーナ

いつもFCふじざくら山梨へご声援頂きまして誠にありがとうございます。
10月30日に行われた関東女子サッカーリーグ2部最終節の1FC川越水上公園メニーナの試合結果をお伝えいたします。

≪関東女子サッカーリーグ2部最終節~結果~≫
(45分ハーフ)
FCふじざくら山梨 8-0 1FC川越水上公園メニーナ
・前半 3-0
・後半 5-0
(得点)
11分 辻野友実子
21分 広沢実佳子
40分 井原美波
60分 金井奈苗
66分 清水千陽
71分 金井奈苗
82分 引田ちひろ
85分 引田ちひろ

≪スターティングメンバー≫
GK 出口春奈
DF高山紗希 松岡沙由理 松原ゆき
MF 井原美波 田中里穂 中村友香 辻野友実子
FW 脇田紗弥 広沢実佳子 鈴木和遥

(途中出場)
45分 OUT13 鈴木和遥  → IN9 金井奈苗
45分 OUT14 脇田紗弥  → IN15 戎谷亜美
61分 OUT19 広沢実佳子  → IN10 清水千陽
76分 OUT11 中村友香  → IN4 引田ちひろ

【今節の振り返り~マッチレポート】

(レポート=伊藤千梅)

今年から関東女子サッカーリーグ2部に参入した、FCふじざくら山梨。昨シーズンよりもリーグレベルの上がった中、初参戦とは思えないほど堂々と闘い抜いた選手たち。他チームの結果次第では優勝の可能性を残したまま、リーグ戦最終節を迎えました。

今シーズンも応援してくださった皆さまへの感謝を込めて、ピッチ外のイベントにもひと際気合いが入っています。
メインイベントには、馬とのふれあいや、乗馬体験までできる「ふじざくらパーク」をオープンしました。今回協力してくださったのは、富士吉田市の小室浅間神社にある馬力屋を運営する「株式会社ナックス」さん。最終節のスタジアムがある富士吉田市では、荷馬が富士山への登山客や荷物を運ぶなど、馬は人々の暮らしに欠かせない存在でした。また800年以上の歴史のある伝統の神事「流鏑馬祭」が、令和となった今日まで受け継がれています。

馬を見つけると、子どもだけでなく大人もはしゃいだ声をあげ、試合前のふじざくらパークは大盛況。馬の背中に乗せてもらった子どもも「グラグラしていたのが楽しかった」と満足そうな様子でした。試合を見にきた方たちも、実際に馬とふれあったことで、この土地の人々が大切にしてきた馬とのつながりを感じられたのではないでしょうか。

さて、勝つことで優勝への望みをつなぐことのできる一戦。試合前にセットプレーの確認をした際、自力で優勝することのできない、Jリーグで現在2位の川崎フロンターレの状況と重ねて話をした渡辺海GKコーチ。「奇跡を起こせるゲームをしよう。次につながるゲームにしよう」と声をかけられ、選手たちは今一度気を引き締めピッチに向かいました。

寒空に太鼓の音が響く中、試合が始まりました。序盤から前線3枚が相手の裏を積極的に狙っていきます。前半11分、左サイドを辻野がドリブルで運び、そのままゴール前まで突破。思い切り放ったシュートは本日最初の得点となりました。

勢いにのったFCふじざくら山梨。サイドからクロスを繰り出し、チャンスを作り出していきます。そして前半21分、前節試合終了間際で得点した広沢が、前線でボールを奪うと、キーパー前まで運び、落ち着いてゴールを決めました。

飲水タイム後も、FCふじざくら山梨の猛攻は止まりません。
ディフェンスラインも、本日怪我から復帰した高山をはじめ、松岡も攻撃に関わり、松原も起点となってチャンスを作ります。そして前半終了5分前には、中盤がつないだボールから、最後はサイドから上がってきていた井原のゴール。右サイドからゴールの左側に突き刺しました。

良い形で前半を折り返すと、後半もボールをキープし続けるFCふじざくら山梨。
後半16分、ゴール前の混戦。何度かゴールに迫り、最後に決め切ったのは後半から出場した金井。その5分後には、辻野からのパスに裏に抜け出した清水がコースを狙ったゴール。さらに5分後には、右からのクロスに再び金井がクロスバーすれすれのシュートを決め、立て続けに得点を奪います。

そして後半31分、クラブの1期生である引田ちひろがピッチに登場しました。2020年9月に出産のためチームを離れ、現在母になった引田。チーム立ち上げ当初は、わずか10人しかいなかったメンバーの一人として、チームに入団してくれました。この試合をもって現役引退する彼女が、コート内を駆け抜けていきます。

その引田が、出場からわずか数分で、戎谷のパスに右足で合わせて得点。会場もベンチも大盛り上がり。その3分後にまたしても戎谷からのスルーパスに、反応する引田。一度はキーパーに拒まれるものの、こぼれ球を再度シュートし、本日2得点目。
最終的には8得点という快勝で、リーグ最終節を終えました。

試合終了後、引田選手の引退セレモニーが行われました。
サポーターの皆様へのご挨拶では、「女子アスリートの選択肢を増やすためのロールモデルになれたらと思い、現役復帰したかった」と、出産を経て、なお自らが選手としてプレーしたことに対しての思いを語りました。
途中声を詰まらせた引田選手に、観客席からは暖かい拍手とがんばれという言葉が飛び交います。「サッカーを通して、本当にたくさんのことを経験して、学んで、出会いとつながりをもつことができました。楽しかったです。幸せでした。ありがとうございました」と締めくくりました。FCふじざくら山梨1期生と、双子のお子様たち、旦那様から花束の贈呈が行われ、最後は笑顔で24年間のサッカー人生に幕を閉じました。

その後、シーズン終了セレモニーを行いました。
田口ヘッドコーチは「11勝3分け0敗。リーグ最小失点。それでも1位になれないのが、サッカーの面白さ」と語り、「なでしこリーグ入れ替え戦では、応援に結果で恩返ししたい」と次節に向けて意気込みました。
またキャプテンの田中選手は「あと一歩で届かなかった1年前の入れ替え戦を思い出すけれど、今まで関わってくれた人たちの分も、昇格できるように頑張っていきます。このスタジアムをふじざくらカラーで埋めてほしいと思っています」というと、観客から拍手が起こりました。

本日もたくさんの方にご来場いただいた中で、リーグ戦最終節を終了いたしました。長いリーグ期間を通して、温かいご声援をありがとうございました。
次の試合はなでしこリーグ入れ替え戦、富士北麓公園陸上競技場で11月6日(日)13:00キックオフになります。3度目の正直。今年こそチーム全員で昇格を掴み取っていきたいと思います。皆さまもぜひ会場に足を運んでいただき、一緒に闘ってもらえたら嬉しいです。

以下、田口ヘッドコーチ、田中里穂、引田ちひろのコメントになります。

田口ヘッドコーチ

Q)試合を振り返って
今週は守備のところで、ファーストディフェンスがしっかりと限定をかけて、セカンド、サードが連動するというのをやってきました。守備の強度をあげるという部分では、全体的にトライの意識は高かったので、それはすごく良かったのかなと思います。また、攻撃においては8得点という結果を残せたので、トライと結果のどちらもできたゲームになったと思います。

Q)なでしこリーグ入れ替え戦に向けて
入れ替え戦では、引き分けも大事になってきます。そういったところで考えると、やはり失点しないこと。僕らが結果を出しているときは、ギリギリのゲームで点をとられずに、1点2点をこじ開けられているような形です。入れ替え戦などの精神的に高ぶる試合は、先手を取られたりすると苦しくなるし、特に先制点をとられるとメンタル的に崩れやすくなってしまうので、しっかりと守備から入るっていうのをやっていきたいです。多くのサポーターに来てもらって、みんなで喜べるゲームにするために、また一週間いい準備をしていきたいと思います。

田中里穂

Q)試合を振り返って
ボールの奪いどころは前節の課題だったので、今週ずっと取り組んでいました。それでもまだまだ、チームとして奪いどころがはっきりしなかった部分もあります。コミュニケーションやプレーの強度も足りないなと思いました。来週に向けて、さらに仕上げていきたいです。

Q)8月からキャプテンとして活動して
怪我で半年みんなとプレーしていなくて、復帰してからキャプテンという役割を与えられたのは、自分としては難しいところがありました。自分のプレーもできていない状態、でも、キャプテンとしてチームのことを考えてやらなきゃいけない。追い込まれているときもあったけれど、本当に、周りのみんなに助けられたのが正直なところです。みんなが関東リーグで半年間やってきた、積み重ねてきたものに、早く追いつこうと思ったし、その上でちょっとでもプラスになる声かけとかは意識してやりました。

Q)なでしこリーグ入れ替え戦に向けて
入れ替え戦予選を勝ち切ったことはすごく大きいけど、入れ替え戦で勝ち切らないと、何も残らないと思っています。ここからが本当の勝負だと思っているし、このメンバーで闘う、勝ち取ることに意味があります。1年間の集大成として、今までやってきたことを入れ替え戦で発揮して、絶対に昇格を掴みたいと思います。

引田ちひろ

Q)引退試合を振り返って
まずは、点をとれたのはすごく良かったです。トップの練習に少ししか混ざれていない中で合わせるのは難しかったけれど、みんなが愛のあるパスをくれたので決めることができました。でも最初はちょっと緊張して、外してしまいました。そこで「やばい」と思って、これは決めなきゃと必死でした。あとは出場時間が決まっていたので、しっかり走り切ろうと、全力でできたのは良かったです。

Q)FCふじざくら山梨での日々を一言で表すと
「地域への恩返し」かな。山梨にこういったトップを目指すチームというのはなかったから、上を目指したい子たちはみんな県外に行ってしまうんです。その中でチームができたとき、自分はいち早く入りたいと思いました。FCふじざくら山梨に入って、試合で活躍したりとか、地域貢献したりというのを、サッカーを通してできたのはすごくうれしいことだなと思います。

Q)サポーターの皆さまにメッセージ
前のチームから応援してくださっている方や、のFCふじざくら山梨の1年目からずっと応援してくれた方が、休んでいる間も待っていてくれたことで、今日を迎えることができました。みんなの応援がすごく伝わってきました。得点したときもみんなで喜んでくれたので、それがすごくうれしかったです。これからは選手ではなくなるけど、今度は自分もチームを応援する側になるので、サポーターの皆さまと一緒にチームを盛り上げていけたらいいなと思います。